年金なんでも解決塾

難しそうな年金を、分かりやすく解説します

学生納付特例制度とは

20歳になると、日本国内に住むすべての人は国民年金の被保険者となり、国民年金の保険料を納めなければなりません。

 

ただし学生については、「学生納付特例制度」を利用すれば、保険料の支払いを猶予されます。

 

学生納付特例制度を利用するには本人からの申請が必要で、本人の前年の所得に基づいて審査がされますが、多くの場合、猶予が認められています。

 

猶予を受けた期間については、老後に年金を受け取るために必要な受給資格期間に含めることはできますが、年金額には反映されませんので、満額の年金を受け取るためには、10年以内に保険料を納める必要があります。

 

また、猶予を受けることにより、病気やケガで障害が残ったときに障害基礎年金を受け取ることができるというメリットもあります。

 

猶予を受ける期間は、4月から翌年3月までの1年間となります。

 

3月に卒業式があっても、3月まで猶予は認められますが、卒業式を終えて3月中に就職した場合は、猶予は2月までとなります。

 

 

64歳11ヶ月での退職が有利

基本手当と年金の両方を受け取る方法があります。

 

65歳前に退職すると雇用保険の基本手当を受け取ることができますが、65歳以後に退職すると高年齢求職者給付金が一時金として支給されます。

 

高年齢求職者給付金は、基本手当日額の最大50日分ですので、高年齢求職者給付金よりも基本手当の方が有利であることが多いです。

 

また、基本手当と65歳前の特別支給の老齢厚生年金の両方を受け取ることはできませんが、基本手当と65歳以降の老齢厚生年金の両方を受け取ることはできます。

 

以上を踏まえ、65歳の誕生日の前々日までに退職をして基本手当の受給資格を得て、65歳以降に求職の申込みをすれば、基本手当と年金の両方を受け取ることが可能となります。

 

ただし、65歳まで在職した方が、賞与や退職金が多く支給されることもありますので、会社の規則を確認しておくことも大切です。

 

 

基本手当と年金の調整

雇用保険の基本手当と、60歳から65歳までの間に受け取る特別支給の老齢厚生年金とは、両方を同時に受け取ることができません。

 

基本手当を受け取っている間は、特別支給の老齢厚生年金は全額支給停止されます。

 

また、ハローワークで求職の申込みをしなければ、特別支給の老齢厚生年金を受け取ることができます。

 

求職の申込みをした場合でも、指定された失業の認定日にハローワークへ行かず、失業の認定を受けなければ、特別支給の老齢厚生年金を受け取ることが可能です。 

 

なお、基本手当を受ける前に3か月間の給付制限期間がある場合、給付制限期間中についても年金は支給されません。

 

ただし、基本手当を受け終わった後に事後精算が行われ、給付制限期間中に相当する分の年金が、後日さかのぼって支給されます。

 

 

任意加入して、過去の保険料を払えるか?

原則として、国民年金の保険料を納めなければならないのは、日本国内に住所のある20歳以上60歳未満の人となっています。

 

例えば、海外に居住する日本人は国民年金の強制加入者ではありませんが、老後に備えて任意で保険料を納めることができます。

 

これを「任意加入」といいます。

 

本人の申し出により任意に年金制度に加入することができるのは、任意加入の申出をして受理をされた日からとなります。

 

したがって、任意加入をして保険料を納めることができるのは、任意加入をした日以降の分からとなります。

 

つまり、過去にさかのぼって任意加入することはできず、過去の数か月分や数年分の保険料をまとめて納めることはできません。

 

 

健保のみ加入し、厚年未加入は可能か?

「健康保険には加入するけれども、厚生年金は保険料が高いので入りたくない。健康保険だけ入ることは可能なのか?」というご相談をいただくことがあります。

 

結論としては、健康保険と厚生年金はセットになっているもので、原則として、どちらか一方のみ加入することはできません。

 

健康保険も厚生年金も、適用事業所に使用されれば、被保険者となります。

 

被保険者となるための条件や、適用事業所の範囲も、ほぼ同じですので、健康保険への加入条件を満たしている人は、同時に、厚生年金への加入条件も満たしていることになります。

 

実務的にも、協会けんぽの場合は、一枚の手続き用紙を日本年金機構に提出することにより、合わせて健康保険の加入の手続きもなされます。

 

健康保険組合の場合は、手続き用紙を健康保険組合日本年金機構のそれぞれ別に提出するため、健康保険組合にのみ手続き用紙を提出すれば、健康保険のみの加入も可能であるようにも見えます。

 

しかし、それは日本年金機構への必要な届出をしていない、単なる未届け状態であるに過ぎません。

 

厚生年金保険法において罰則規定も設けられており、認められるものではありません。