年金なんでも解決塾

難しそうな年金を、分かりやすく解説します

協会けんぽの保険料率

協会けんぽの健康保険料率は、都道府県支部ごとに決められています。

 

協会けんぽ全体の保険料率(平成30年度は10.00%)が設定され、それが全体の平均となるように、各都道府県支部の保険料率が決定されます。

 

医療費の水準が高いと、保険料率も高くなる仕組みとなっています。

 

同時に、加入者の年齢構成や所得水準の違いが影響しないように調整がされます。

 

平成30年度は、最も保険料率が高い佐賀支部10.61%に対し、最も低いのは新潟支部9.63%で、その差は0.98%でした。

 

金額にすると、標準報酬月額が28万円の人で、1年間に支払う保険料に約33,000円の違いが生じます。

 

半分を事業主が負担しますので、個人の負担は約16,000円の差になります。

 

さらに平成30年度から、将来的な医療費の増加を抑制するため、「インセンティブ制度」が導入されました。

 

これは、健診受診率などの健康づくりや医療費の抑制(ジェネリック医薬品の使用割合)などの評価指標により各都道府県支部を評価し、上位半数となった支部の保険料率を引き下げるというものです。

 

成績の良い支部の保険料率が引き下げられることから「報奨金制度」とも呼ばれています。

 

18歳から40年間働いたら、満額の年金を受け取れる?

国民年金の保険料を40年間納めると、65歳から満額の老齢基礎年金を受け取ることができます。

 

平成30年度の満額の老齢基礎年金は779,300円となっています。

 

会社に就職して厚生年金に加入すると、給与から厚生年金保険料を天引きされますが、厚生年金保険料には国民年金保険料の分も含んでいるので、同時に国民年金保険料を納めたことにもなります。

 

高校を卒業して18歳で就職し、58歳で退職したとすると、厚生年金に40年間加入したことになりますが、この場合、満額の老齢基礎年金を受け取ることができるでしょうか。

 

40年間保険料を納めれば、満額の老齢基礎年金を受け取ることができますが、国民年金に加入することができるのは、20歳から60歳までの40年間となっています。

 

18歳から20歳までの2年間については、国民年金の加入対象期間外であるため、老齢厚生年金の額には反映されますが、老齢基礎年金の額には反映されません。

 

したがって、58歳から60歳までの2年間国民年金保険料を納めると、満額の老齢基礎年金を受け取ることができるようになり、58歳から60歳までの2年間国民年金保険料を納めなければ、2年間未納となり、老齢基礎年金が減額されることになります。

本人からの申出による、年金の支給停止

老後に年金を受け取ることは、現役時代に保険料を納めたことに伴い発生する当然の権利ですが、平成194月より、本人が申し出ることにより年金を受け取らないことも可能となりました。

 

年金事務所で、「老齢・障害・遺族給付支給停止申出書」に記入をして提出すれば、その翌月から年金の支給は停止となりますが、現実としてこの制度はほとんど利用されておりません。

 

なお、支給停止を申し出たとしても、他の年金との関係においては、引き続き支給されているものとみなして調整がされますので、注意してください。

 

具体的には、

 

・妻が遺族厚生年金の支給停止を申し出た場合、同順位の子に遺族厚生年金が支給されることはなく、子の遺族厚生年金も引き続き支給停止となります。

 

・夫婦ともに厚生年金加入期間が20年以上あり、いずれか一方が老齢厚生年金の支給停止を申し出た場合、もう一方の老齢厚生年金に加給年金が加算されることはなく、加給年金は引き続き支給停止となります。

 

労災保険の障害補償年金との関係においても、支給停止を申し出たとしても、引き続き支給されているものとみなされるため、労災保険の障害補償年金は引き続き支給停止となります。

 

 

なぜ昭和41年4月2日以降生まれの人は、振替加算をもらえないのか?

いわゆる専業主婦の人たちは、かつては国民年金は任意加入とされていましたが、昭和614月から強制加入となりました。

 

国民年金に強制加入するようになると、65歳から妻自身が老齢基礎年金を受け取ることができるようになります。

 

妻自身が65歳から老齢基礎年金を受け取ることができるようになるのを受けて、年金の家族手当ともいわれている夫の「配偶者加給年金」は65歳で終了しようということになりました。

 

ただし、強制加入になったのは昭和614月からですので、昭和614月時点において30歳や40歳、50歳の人は、これから国民年金の保険料を納めても、満額の老齢基礎年金を受け取るための、40年の保険料納付を満たすことができません。

 

そこで、夫が受け取っていた配偶者加給年金の一部を、65歳から妻に支給することにしました。

 

これを、「振替加算」といいます。

 

国民年金が強制加入になったのは昭和614月からであり、昭和4142日以降に生まれた人は、20歳になったときから保険料を納めることができるので、65歳から満額の老齢基礎年金を受け取ることが可能です。

 

したがって、昭和4142日以降に生まれた人には振替加算は支給されないことになります。

 

第4種被保険者とは

昭和614月に年金制度が大きく変わり、基礎年金制度が導入されました。

 

昭和613月までは、国民年金と厚生年金はそれぞれ別の制度として扱われていましたが、昭和614月からは、国民年金と厚生年金をまとめて扱うことになりました。

 

4種被保険者とは、昭和613月までの旧制度のときに利用されていたものです。

 

昭和613月までは、国民年金と厚生年金はそれぞれ別の制度として扱われていて、厚生年金から年金を受け取るためには、原則として20年(240か月)の加入期間が必要でした。

 

厚生年金の通算の加入期間が238月で退職した場合、年金を受け取るためにあと2ヶ月足りません。

 

足りない2ヶ月を補うために、会社に勤めるのではなく、任意に厚生年金に加入して240月を満たすことができました。

 

この、240月に到達させるために、任意に厚生年金に2ヶ月加入する期間のことを「第4種被保険者」といいます。

 

4種被保険者の資格は、厚生年金加入期間が240月に到達した時点で喪失し、また、第4種被保険者の保険料は、第4種被保険者になる直前に退職したときの標準報酬月額がそのまま引き継がれることになります。