障害認定日は、なぜ「1年6か月」?
初診日から1年6か月経過した日を、障害認定日といいます。
初診日から1年6か月経過した障害認定日において、障害の状態にあると認められれば、障害年金を受け取ることができます。
一部例外はありますが、原則として、障害年金を受け取るためには、初診日から1年6か月は待たないといけません。
中には、回復の見込みがない病気や治療法が確立されていない病気もあり、1年6か月待たなくても、障害年金の対象になりそうな状況もあるでしょう。
ではなぜ、障害認定日は初診日から「1年6か月」経過した日なのでしょうか。
「1年6か月」の根拠を明確に示しているものはありませんが、考えられるものの一つとして、健康保険の傷病手当金があります。
傷病手当金とは、病気やケガで働けないときに、最大1年6か月支給されるものです。
つまり、最初の1年6か月は傷病手当金で生活を保障し、1年6か月経過後は障害年金がそれを引き継ぐ、という考えに基づいているのかもしれません。
委任状があれば本人以外でもOK
年金の請求や手続きなどは、本人が年金事務所に足を運んで行うのが原則ですが、高齢や多忙のためなどの理由で、本人が行うことが難しい場合もあります。
本人が手続きを行うことが難しい場合は、「委任状」があれば、本人の代わりに他の人に手続きをお願いすることが可能となっています。
たとえ配偶者や子などの身近な親族であっても、本人以外が手続きを行うときは、委任状が必要となります。
委任状は任意のもので構いませんが、日本年金機構のホームページに委任状のフォーマットが用意されているので、これを活用すると良いでしょう。
委任状は本人以外の人が記入しても良いですが、間違いなく本人が委任したことを確認するために、署名と押印は必ず本人が行わなければなりません。
要介護状態や障害などで本人が署名することができないときは、障害者手帳や医師の診断書、病院や施設長の証明などの、本人が署名できないことを確認できるものの提出が必要となります。
「特別支給の老齢厚生年金」の受け取り忘れに注意
厚生年金の加入期間が1年以上ある人は、性別や生年月日に応じて、60歳から64歳までのいずれかの年齢から、「特別支給の老齢厚生年金」を受け取ることができます。
この「特別支給の老齢厚生年金」は、65歳から受け取ることのできる「老齢厚生年金」とは別の年金になりますので、注意が必要です。
年金の受け取りは、5年を経過すると時効で消滅します。
例えば、63歳から「特別支給の老齢厚生年金」を受け取ることができる場合、69歳で請求をすると、5年より前の期間は時効で消滅してしまうため、1年分の年金を受け取り損ねてしまいます。
また、「特別支給の老齢厚生年金」は65歳までの有期年金であり、いわゆる「繰下げ」の制度はありません。
「老齢厚生年金」を繰下げようと思っている場合でも、「特別支給の老齢厚生年金」は繰下げの対象とはなりませんので、時効で消滅する前に請求をしなければなりません。
また、在職中のため、「働いているので年金は受け取れない」と思っている方もいるようですが、給与の額によっては年金が一部支給されることもありますので、最寄りの年金事務所で確認してもらうようにしてください。
免除の申請をしたのに、納付書が届いたとき
「国民年金の免除の申請をしたけど、国民年金の納付書が届いた。これは、免除の申請が通らなかったので、保険料を納めなければならないってこと?」というご質問をいただくことがあります。
結論としては、「免除の申請の結果が来るまでもう少し時間がかかるので、保険料は納めずに、納付書はそのままにしておいてください」となります。
これは、免除の申請をして結果が来るまで2~3か月かかるのですが、その間に納付書だけが先に届いてしまう事務処理の流れとなってしまっているためです。
納付書に同封されている書類にも、
「現在、免除等を申請中の方にもこの納付書をお送りしていますので、ご了承ください。」
「申請の結果は後日通知しますが、結果通知が届くまでの間は、納付書を大切に保管してください。」
と記載されています。
免除が承認されると、申請から2~3か月後に、見開きハガキの「国民年金保険料免除・納付猶予申請承認通知書」が届くことになります。
この通知書が届いて、免除が承認されたことの確認ができたら、届いていた納付書は破棄してしまって構いません。
年金記録が見つかったのに、減額になる場合
「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」を確認していると、過去に働いていた会社の記録が抜け落ちていることがあります。
本人の記録として紐付けされていない理由としては、氏名や生年月日が誤って登録されていたことなどがありますが、年金事務所に申出をして確認が取れれば、本人の記録として紐付けてもらうことができます。
過去の記録が見つかれば、その分だけ受け取ることのできる年金額が増えるのが一般的ですが、例外的に、記録が見つかったことにより年金額が下がってしまう場合もあります。
具体的には、下記のようなケースがあります。
・妻の厚生年金記録が見つかった結果、厚生年金期間が20年以上となったために、夫の加給年金や妻の振替加算がさかのぼって取消となり、減額となる
・300月みなしで障害厚生年金や遺族厚生年金を受給している場合、報酬の低い期間の記録が見つかったために、平均報酬月額が下がり、減額となる
・第4種被保険者期間がある老齢厚生年金の受給者が、報酬の低い期間の記録が見つかったために第4種被保険者期間が取り消しとなり、平均報酬月額が下がり、減額となる
ただし、年金額が下がる場合は、年金事務所において「年金額仮計算書」という用紙の、「年金記録の訂正は必要ありません。」にチェックを入れれば、見つかった記録は紐付けされず、今後もこれまで同様の年金額が支給されることになります。