年金なんでも解決塾

難しそうな年金を、分かりやすく解説します

働きながら年金を受け取っている人の、年金はいつ増える?

60歳になって、年金を受け取り始めるようになりました。

その一方、年金だけでは生活できないので、仕事を続けて、厚生年金保険料も納めています。」

 

老後に受け取る老齢厚生年金の額は、厚生年金保険料を納めてきた期間や額によって異なりますが、上記の例のように、年金を受け取りながら保険料を納めている人の年金額はいつ増えるのでしょうか。

 

厚生年金保険料を毎月納めているのですから、それに応じて毎月年金額も増えそうなものですが、実際は、保険料を納めるごとに年金額が増えることはありません。

 

年金を受け取りながら保険料を納めている人の年金額は、退職したときにまとめて増えることになっています。

 

つまり、60歳から年金を受け取り始める一方、60歳から63歳まで仕事をして保険料を納めていた場合、60歳から63歳までの3年間の保険料の分は、退職したときに3年間分まとめて計算をして、年金額が増える仕組みとなっています。

 

なお、退職したとき以外にも、65歳になったとき、70歳になったときにも、年金額の再計算が行われます。

 

したがって、年金を受け取りながら保険料を納めている人の年金額は、

・退職したとき

65歳になったとき

70歳になったとき

この3つのタイミングで年金額が増えることになります。

国民年金第1号被保険者の産前産後の保険料免除制度

平成314月から、国民年金1号被保険者の産前産後期間にかかる、保険料免除制度が始まります。

 

出産前に届出をすることにより、出産予定日の属する月の前月から4か月分の保険料が免除されます。

(双子や三つ子などの場合は、出産予定日の属する月の3か月前から6か月分)

 

具体的には、出産予定日が平成317月であるとすると、平成316月から9月までの4か月分の保険料が免除になります。

 

施行日が平成314月であるため、出産予定日が平成313月の場合は、平成314月分と5月分の2か月分の保険料が免除されます。

 

出産後に免除の届出をした場合は、出産日の属する月の前月から4か月分の保険料が免除になります。

 

出産前に届出をして、出産予定日の6月に対して、実際の出産日が7月であった場合でも、出産予定日の6月を基準にして、免除の月が決定されます。

 

免除になった期間については、保険料を全額納めたものとして、老後の年金額が計算されます。

 

保険料を前納していた場合は、保険料は還付され、産前産後の免除期間の付加保険料のみを納めることも可能となっています。

 

なお、この産前産後免除制度にかかる財源を確保するため、平成31年度から保険料が100円上がることになっています。

 

 

障害年金で必要な診断書の枚数

障害年金の請求をするときには、医師の診断書が欠かせませんが、状況によって、必要な診断書の枚数が1枚のときと2枚のときがありますので、注意しましょう。

 

 

【障害認定日による請求のとき(障害認定日から1年以内に請求するとき)】

…障害認定日以降3か月以内の診断書1枚が必要

 

【障害認定日による請求のとき(障害認定日から1年以上過ぎて請求するとき)】

…障害認定日以降3か月以内の診断書1枚と

 請求日以前3か月以内の診断書1枚の、合計2枚必要

 

【事後重症による請求のとき】

…請求日以前3か月以内の診断書1枚が必要

 

 

障害認定日において障害等級に該当すると思われる場合であっても、「障害認定日の頃に病院で受診していない」「障害認定日の頃に病院で受診したけど、カルテが廃棄されていて診断書を作成してもらえない」などの場合は、原則として、障害認定日による請求ではなく、事後重症による請求となります。

 

 

再評価率とは

老齢厚生年金の額は、これまで働いてきたときの標準報酬月額の平均値をもとに算出しますが、これまでの標準報酬月額を単純に平均化するのではなく、一定の「再評価率」を掛け合わせて算出します。

 

「再評価率」とは、一体何なのでしょうか。

 

年金を受け取るようになる65歳のときと、初めて会社に勤め始めた40年前とではお金の価値が変わっています。

 

40年前は10円や100円で買えた物でも、物価が上がった現在では、当時の値段では買うことはできないでしょう。

 

40年前の給与の額をそのまま用いて、これから受け取る年金額の計算をしてしまうと、年金の実質価値が低くなってしまい、当時の金銭価値に見合う年金額とはなりません。

 

そこで、過去の給与の額を、現在価値に直して、年金を支給することにしました。

 

過去の給与の額を現在価値に置き換えるために用いる調整の割合のことを、「再評価率」といいます。

 

 

保険料を免除にすると、年金はいくら減る?

国民年金保険料を20歳から60歳までの40年間納めると、65歳から満額の老齢基礎年金を受け取ることができます。

 

一方、保険料の納付が困難なときは、申請をすることにより、保険料の免除を受けることができます。

 

免除には、全額免除・4分の3免除・半額免除・4分の1免除がありますが、免除を受けた期間については、その一部が年金額に反映されます。

 

・全額免除………2分の1が年金額に反映される

4分の3免除……8分の5が年金額に反映される

・半額免除………4分の3が年金額に反映される

4分の1免除……8分の7が年金額に反映される

 

具体的に、これらの免除を1か月受けたときに、減額となる年金額は以下の通りとなります。(平成30年度の老齢基礎年金779,300円で計算)

 

・全額免除………年金額が812円減額になる

4分の3免除……年金額が608円減額になる

・半額免除………年金額が406円減額になる

4分の1免除……年金額が203円減額になる

 

なお、免除を受けずに1か月未納にしておくと、年金額が1,623円減額になります。