年金なんでも解決塾

難しそうな年金を、分かりやすく解説します

健保のみ加入し、厚年未加入は可能か?

「健康保険には加入するけれども、厚生年金は保険料が高いので入りたくない。健康保険だけ入ることは可能なのか?」というご相談をいただくことがあります。

 

結論としては、健康保険と厚生年金はセットになっているもので、原則として、どちらか一方のみ加入することはできません。

 

健康保険も厚生年金も、適用事業所に使用されれば、被保険者となります。

 

被保険者となるための条件や、適用事業所の範囲も、ほぼ同じですので、健康保険への加入条件を満たしている人は、同時に、厚生年金への加入条件も満たしていることになります。

 

実務的にも、協会けんぽの場合は、一枚の手続き用紙を日本年金機構に提出することにより、合わせて健康保険の加入の手続きもなされます。

 

健康保険組合の場合は、手続き用紙を健康保険組合日本年金機構のそれぞれ別に提出するため、健康保険組合にのみ手続き用紙を提出すれば、健康保険のみの加入も可能であるようにも見えます。

 

しかし、それは日本年金機構への必要な届出をしていない、単なる未届け状態であるに過ぎません。

 

厚生年金保険法において罰則規定も設けられており、認められるものではありません。

 

 

年金を担保にする

年金受給者が一時的に資金が必要になった場合、年金を担保にして資金を借り入れる公的貸付制度があります。

 

年金を担保にして資金を融資できるのは、「独立行政法人福祉医療機構」のみとなっており、貸金業法では違反した民間業者に対して罰則規定も設けています。

 

融資の申し込みは、年金の受け取り口座として指定している一部の銀行や信用金庫でも可能で、申し込みをしてから融資を受けるまで、およそ1か月かかります。

 

融資の返済にあたっては、年金の全額を独立行政法人福祉医療機構がいったん受け取り、借り入れ申し込み時に指定した金額を回収し、その残額が受給者の口座に振り込まれる仕組みとなっています。

 

なお、この年金担保貸付制度は、平成343月末で申し込みの受付を終了することがすでに決定しています。

 

 

短期在留者のための脱退一時金

脱退一時金とは、いわば、「日本に短期滞在する外国人のための、保険料掛け捨て防止のための制度」です。

 

老後に年金を受け取るためには、原則として保険料を10年納めなければなりませんが、日本での滞在が短期間の外国人は、10年を満たさないことがあります。

 

保険料の納付期間が10年に満たなかったとしても、国民年金や厚生年金の保険料を6か月以上納めていれば、帰国後2年以内に請求することにより、脱退一時金を受け取ることができます。

 

国民年金の脱退一時金は納めた月数により定額ですが、厚生年金の脱退一時金は納めた月数や保険料により異なってきます。

 

それ以外に、日本と母国との間で「年金加入期間の通算」に関する協定を結んでいるのであれば、日本で保険料を納めた期間を母国の受給資格期間に算入することもできます。

 

ただし、この場合は、日本から脱退一時金を受け取らないことが条件です。

 

なお、日本人が海外に移住し、国籍を変更した場合も、脱退一時金の請求は可能です。

 

 

積立方式と賦課方式

年金制度には、「積立方式」と「賦課方式」の2種類があります。

 

大まかに言うと、現在自分で納めた保険料を将来自分が受け取るのが「積立方式」であるのに対し、「賦課方式」とは、現在自分で納めた保険料を現在の受給世代の年金の支払いに充てるというものです。

 

日本の公的年金制度は「賦課方式」となっています。

 

徴収した保険料をすぐに年金の支払いに充てているというイメージです。

 

理論上、現役世代からほんのわずかでも保険料が徴収され続ける限り、受給世代の年金の支払いが完全になくなるということはありません。

 

ただし、保険料率の伸びが抑制され、保険料を徴収すべき現役世代の人数が減っていくことは明らかですので、保険料収入の減少に応じて、年金の支払額が減ったり年金の支払時期を遅らせたりすることは想定しておかざるを得ないでしょう。

 

いずれ年金財政が厳しくなることを見越して、将来の年金の財源を確保するために年金資産を運用したり、マクロ経済スライドと呼ばれる仕組みにより年金の上昇を抑えたりしているのが現状です。

 

世代間の不満は確かにありますが、年金制度ができた昭和36年当時は保険料を全く納めていなくても年金を受け取っていた世代がいて、それでも当時の人たちがそれを受け入れて年金制度を今日まで引き継いだことを考えれば、現在の私たちもある程度は我慢しなければいけないのかもしれません。

 

年金は長生きするリスクに備えるための保険であり、保険料の収入と年金の支出のバランスがとれるように制度を正しく運用し続ける限り、年金制度が破綻することはないと考えます。

 

 

保険料追納には加算金がかかる

国民年金の保険料を免除にしていた期間については、過去10年以内であれば、後から保険料を納めることができます。

 

これを、「追納(ついのう)」といいます。

 

当時の保険料の額を追納するのが原則ですが、過去3年度以前の期間について保険料を追納する場合には、当時の保険料に一定額の加算がされます。

 

平成30年4月から平成31年3月までの間に保険料を追納する場合の、追納にかかる率と額は以下の通りとなります。(全額免除の場合)

 

 

当時の保険料

追納する保険料

差額

平成20年度

0.053

14,410円

15,170円

760円

平成21年度

0.041

14,660円

15,260円

600円

平成22年度

0.028

15,100円

15,520円

420円

平成23年

0.019

15,020円

15.310円

290円

平成24年

0.012

14,980円

15,160円

180円

平成25年度

0.006

15,040円

15,130円

90円

平成26年

0.002

15,250円

15,280円

30円

平成27年

0.001

15,590円

15,610円

20円

平成28年

16,260円

16,260円

平成29年度

16,490円

16,490円