年金なんでも解決塾

難しそうな年金を、分かりやすく解説します

繰下げするつもりが、誤ってハガキを返送してしまったとき

65歳前から特別支給の老齢厚生年金を受け取っている人は、65歳になると老齢基礎年金と老齢厚生年金を受け取ることができるようになります。

 

65歳になる約1か月前に日本年金機構からハガキが届くので、65歳から受け取りたいときはハガキを返送し、繰下げ受給をしたいときはハガキを返送しません。

 

66歳以降に繰下げ受給をするつもりでいたのに、勘違いをしてハガキを返送してしまい、その結果、65歳からの老齢基礎年金と老齢厚生年金が支給されてしまうことがあります。

 

この場合、「申立書」を提出すれば、ハガキの提出が取り消されて、66歳以降に繰下げ受給をすることが可能となります。

 

「申立書」は任意の様式で構いませんが、年金事務所によっては、あらかじめ用紙を用意していることもあります。

 

あわてずに、まずは最寄りの年金事務所に相談するようにしましょう。

厚生年金基金とは

厚生年金基金は、昭和40年代に創設された企業年金の一つです。

 

老齢厚生年金の報酬比例部分を国に代わって支給するとともに、独自の上乗せ給付を行うことにより、より手厚い保障を行うことを目的としていました。

 

厚生年金基金はあらかじめ将来の給付額を確定している年金であるため、給付に必要な掛金を計画的に積み立てておかなければなりません。

 

バブル経済期においては運用が順調で、大幅な利益を確保することができていましたが、バブル崩壊リーマンショックの影響を受け、基金の資産運用状況は悪化していきました。

 

独自の上乗せ給付を行うだけの原資が確保できないだけでなく、報酬比例部分を国に代わって支給することさえ困難となる「代行割れ」の基金が相次ぎました。

 

これを受けて、平成26年に厚生年金基金制度の見直しが行われました。

 

その内容は、

・今後、新たな基金の新設を認めない

・一定の基準を満たしていない基金に解散命令を出す

 

などといったものです。

未支給年金とは

「未支給年金」とは、年金を受け取っている人が亡くなったときに、亡くなってしまったために受け取ることのできなかった年金のことです。

 

年金は、亡くなった月の分まで支給されます。

 

例えば、2月分と3月分の年金を415日に受け取って、420日に亡くなった場合、4月分の年金をまだ受け取っていないので、4月分の年金が未支給年金となります。

 

未支給年金は、生計を同じくしていた配偶者や子ども、父母などが受け取ることができます。

 

未支給年金を受け取ると、所得税の課税対象となり、確定申告においては一時所得の扱いとなります。

 

相続財産には該当しないため、相続税の対象とはなりません。

 

年金を受け取っている人が亡くなったときは、ほとんどの場合で未支給年金が発生しますので、忘れずに請求するようにしてください。

初診日以降の保険料納付はNG

障害基礎年金の請求においては、保険料納付要件を満たしていることが必要です。

 

具体的には、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと、または、

初診日のある月の前々月までの全期間のうちの3分の2以上の期間について保険料を納めているか免除にしていることが要件となります。

 

この場合の保険料の納付については、国民年金保険料を初診日の前日までに納めていなければならないので、注意してください。

 

例えば、415日が初診日であるとします。

 

2月分の保険料を3月末日までに納めなければならないところ、納付が遅れて、420日に納めたとします。

 

420日に納付しているので、老齢基礎年金の年金額の計算にはもちろん反映されますが、初診日である415日よりも後に納めているため、障害基礎年金の保険料納付要件としては認められません。

 

保険料納付の原則である「翌月末日まで」に納付していれば、障害基礎年金の保険料納付要件に反映されない事態は避けることができますので、日頃から納付期限までに保険料を納めておくことが大切です。

繰上げ受給の注意点

老齢基礎年金を受け取ることができるのは原則として65歳からですが、本人が希望すれば、60歳から受け取ることも可能です。

 

本来の65歳よりも早く受け取ることを、「繰上げ」といいますが、繰上げ請求をする際にはいくつかの注意点がありますので、事前に確認をしてください。

 

・一生減額された年金を受け取ることになる

 (60歳から受給を開始すると、本来の年金額の70%になる)

・一度繰上げ請求をすると、後で取り消すことができない

・繰上げ請求した後に重い障害が残っても、障害基礎年金を受け取ることができない。

 

また、これら以外にも、下記の点にも注意が必要です。

 

寡婦年金を受け取っている人が繰上げ請求をすると、寡婦年金を受け取れなくなる

・繰上げ受給をしている人は、寡婦年金を請求できない

65歳前に遺族年金を受け取ることができる場合、どちらか一方しか受け取れない

国民年金に任意加入することができない