年金なんでも解決塾

難しそうな年金を、分かりやすく解説します

年金を担保にする

年金受給者が一時的に資金が必要になった場合、年金を担保にして資金を借り入れる公的貸付制度があります。

 

年金を担保にして資金を融資できるのは、「独立行政法人福祉医療機構」のみとなっており、貸金業法では違反した民間業者に対して罰則規定も設けています。

 

融資の申し込みは、年金の受け取り口座として指定している一部の銀行や信用金庫でも可能で、申し込みをしてから融資を受けるまで、およそ1か月かかります。

 

融資の返済にあたっては、年金の全額を独立行政法人福祉医療機構がいったん受け取り、借り入れ申し込み時に指定した金額を回収し、その残額が受給者の口座に振り込まれる仕組みとなっています。

 

なお、この年金担保貸付制度は、平成343月末で申し込みの受付を終了することがすでに決定しています。

 

 

短期在留者のための脱退一時金

脱退一時金とは、いわば、「日本に短期滞在する外国人のための、保険料掛け捨て防止のための制度」です。

 

老後に年金を受け取るためには、原則として保険料を10年納めなければなりませんが、日本での滞在が短期間の外国人は、10年を満たさないことがあります。

 

保険料の納付期間が10年に満たなかったとしても、国民年金や厚生年金の保険料を6か月以上納めていれば、帰国後2年以内に請求することにより、脱退一時金を受け取ることができます。

 

国民年金の脱退一時金は納めた月数により定額ですが、厚生年金の脱退一時金は納めた月数や保険料により異なってきます。

 

それ以外に、日本と母国との間で「年金加入期間の通算」に関する協定を結んでいるのであれば、日本で保険料を納めた期間を母国の受給資格期間に算入することもできます。

 

ただし、この場合は、日本から脱退一時金を受け取らないことが条件です。

 

なお、日本人が海外に移住し、国籍を変更した場合も、脱退一時金の請求は可能です。

 

 

積立方式と賦課方式

年金制度には、「積立方式」と「賦課方式」の2種類があります。

 

大まかに言うと、現在自分で納めた保険料を将来自分が受け取るのが「積立方式」であるのに対し、「賦課方式」とは、現在自分で納めた保険料を現在の受給世代の年金の支払いに充てるというものです。

 

日本の公的年金制度は「賦課方式」となっています。

 

徴収した保険料をすぐに年金の支払いに充てているというイメージです。

 

理論上、現役世代からほんのわずかでも保険料が徴収され続ける限り、受給世代の年金の支払いが完全になくなるということはありません。

 

ただし、保険料率の伸びが抑制され、保険料を徴収すべき現役世代の人数が減っていくことは明らかですので、保険料収入の減少に応じて、年金の支払額が減ったり年金の支払時期を遅らせたりすることは想定しておかざるを得ないでしょう。

 

いずれ年金財政が厳しくなることを見越して、将来の年金の財源を確保するために年金資産を運用したり、マクロ経済スライドと呼ばれる仕組みにより年金の上昇を抑えたりしているのが現状です。

 

世代間の不満は確かにありますが、年金制度ができた昭和36年当時は保険料を全く納めていなくても年金を受け取っていた世代がいて、それでも当時の人たちがそれを受け入れて年金制度を今日まで引き継いだことを考えれば、現在の私たちもある程度は我慢しなければいけないのかもしれません。

 

年金は長生きするリスクに備えるための保険であり、保険料の収入と年金の支出のバランスがとれるように制度を正しく運用し続ける限り、年金制度が破綻することはないと考えます。

 

 

保険料追納には加算金がかかる

国民年金の保険料を免除にしていた期間については、過去10年以内であれば、後から保険料を納めることができます。

 

これを、「追納(ついのう)」といいます。

 

当時の保険料の額を追納するのが原則ですが、過去3年度以前の期間について保険料を追納する場合には、当時の保険料に一定額の加算がされます。

 

平成30年4月から平成31年3月までの間に保険料を追納する場合の、追納にかかる率と額は以下の通りとなります。(全額免除の場合)

 

 

当時の保険料

追納する保険料

差額

平成20年度

0.053

14,410円

15,170円

760円

平成21年度

0.041

14,660円

15,260円

600円

平成22年度

0.028

15,100円

15,520円

420円

平成23年

0.019

15,020円

15.310円

290円

平成24年

0.012

14,980円

15,160円

180円

平成25年度

0.006

15,040円

15,130円

90円

平成26年

0.002

15,250円

15,280円

30円

平成27年

0.001

15,590円

15,610円

20円

平成28年

16,260円

16,260円

平成29年度

16,490円

16,490円

 

 

 

旧法と新法の併給調整

旧法と新法の併給調整で、特に気を付けるものをピックアップします。

  

   旧国 老齢年金(0120)と遺族基礎年金(1450

…どちらか一方を選択

 

   旧国 老齢年金(0120)と遺族厚生年金(1450

…併給可

 

   旧国 通算老齢年金(0520)と遺族基礎年金(1450

…どちらか一方を選択

 

   旧国 通算老齢年金(0520)と遺族厚生年金(1450

…併給可

 

   旧国 障害年金0620)と老齢基礎年金(1150

…どちらか一方を選択

 

   旧国 障害年金0620)と老齢厚生年金(1150

…平成184月より、65歳以上は併給可

 

   旧国 障害年金0620)と遺族基礎年金(1450

…どちらか一方を選択

 

   旧国 障害年金0620)と遺族厚生年金(1450

…併給可

 

   旧厚 老齢年金(0130)と遺族厚生年金(1450

…旧厚 老齢年金(0130)を選択し、遺族厚生年金(1450)は支給停止、

 もしくは、

 遺族厚生年金(1450)を選択し、旧厚 老齢年金(0130)は2分の1支給

 

   旧厚 通算老齢年金(0230)と遺族厚生年金(1450

…旧厚 通算老齢年金(0230)を選択し、遺族厚生年金(1450)は支給停止、

 もしくは、

 遺族厚生年金(1450)を選択し、旧厚 通算老齢年金(0230)は2分の1支給

 

   旧厚 障害年金0330)と老齢基礎年金(1150

…どちらか一方を選択

 

   旧厚 障害年金0330)と老齢厚生年金(1150

…どちらか一方を選択

 

   旧厚 遺族年金(0430)と老齢基礎年金(1150

…併給可

 

   旧厚 遺族年金(0430)と老齢厚生年金(1150

…どちらか一方を選択

 

   旧厚 通算遺族年金(0930)と老齢基礎年金(1150

…併給可

 

   旧厚 通算遺族年金(0930)と老齢厚生年金(1150

…どちらか一方を選択