年金なんでも解決塾

難しそうな年金を、分かりやすく解説します

基本手当と年金の調整

雇用保険の基本手当と、60歳から65歳までの間に受け取る特別支給の老齢厚生年金とは、両方を同時に受け取ることができません。

 

基本手当を受け取っている間は、特別支給の老齢厚生年金は全額支給停止されます。

 

また、ハローワークで求職の申込みをしなければ、特別支給の老齢厚生年金を受け取ることができます。

 

求職の申込みをした場合でも、指定された失業の認定日にハローワークへ行かず、失業の認定を受けなければ、特別支給の老齢厚生年金を受け取ることが可能です。 

 

なお、基本手当を受ける前に3か月間の給付制限期間がある場合、給付制限期間中についても年金は支給されません。

 

ただし、基本手当を受け終わった後に事後精算が行われ、給付制限期間中に相当する分の年金が、後日さかのぼって支給されます。

 

 

任意加入して、過去の保険料を払えるか?

原則として、国民年金の保険料を納めなければならないのは、日本国内に住所のある20歳以上60歳未満の人となっています。

 

例えば、海外に居住する日本人は国民年金の強制加入者ではありませんが、老後に備えて任意で保険料を納めることができます。

 

これを「任意加入」といいます。

 

本人の申し出により任意に年金制度に加入することができるのは、任意加入の申出をして受理をされた日からとなります。

 

したがって、任意加入をして保険料を納めることができるのは、任意加入をした日以降の分からとなります。

 

つまり、過去にさかのぼって任意加入することはできず、過去の数か月分や数年分の保険料をまとめて納めることはできません。

 

 

健保のみ加入し、厚年未加入は可能か?

「健康保険には加入するけれども、厚生年金は保険料が高いので入りたくない。健康保険だけ入ることは可能なのか?」というご相談をいただくことがあります。

 

結論としては、健康保険と厚生年金はセットになっているもので、原則として、どちらか一方のみ加入することはできません。

 

健康保険も厚生年金も、適用事業所に使用されれば、被保険者となります。

 

被保険者となるための条件や、適用事業所の範囲も、ほぼ同じですので、健康保険への加入条件を満たしている人は、同時に、厚生年金への加入条件も満たしていることになります。

 

実務的にも、協会けんぽの場合は、一枚の手続き用紙を日本年金機構に提出することにより、合わせて健康保険の加入の手続きもなされます。

 

健康保険組合の場合は、手続き用紙を健康保険組合日本年金機構のそれぞれ別に提出するため、健康保険組合にのみ手続き用紙を提出すれば、健康保険のみの加入も可能であるようにも見えます。

 

しかし、それは日本年金機構への必要な届出をしていない、単なる未届け状態であるに過ぎません。

 

厚生年金保険法において罰則規定も設けられており、認められるものではありません。

 

 

年金を担保にする

年金受給者が一時的に資金が必要になった場合、年金を担保にして資金を借り入れる公的貸付制度があります。

 

年金を担保にして資金を融資できるのは、「独立行政法人福祉医療機構」のみとなっており、貸金業法では違反した民間業者に対して罰則規定も設けています。

 

融資の申し込みは、年金の受け取り口座として指定している一部の銀行や信用金庫でも可能で、申し込みをしてから融資を受けるまで、およそ1か月かかります。

 

融資の返済にあたっては、年金の全額を独立行政法人福祉医療機構がいったん受け取り、借り入れ申し込み時に指定した金額を回収し、その残額が受給者の口座に振り込まれる仕組みとなっています。

 

なお、この年金担保貸付制度は、平成343月末で申し込みの受付を終了することがすでに決定しています。

 

 

短期在留者のための脱退一時金

脱退一時金とは、いわば、「日本に短期滞在する外国人のための、保険料掛け捨て防止のための制度」です。

 

老後に年金を受け取るためには、原則として保険料を10年納めなければなりませんが、日本での滞在が短期間の外国人は、10年を満たさないことがあります。

 

保険料の納付期間が10年に満たなかったとしても、国民年金や厚生年金の保険料を6か月以上納めていれば、帰国後2年以内に請求することにより、脱退一時金を受け取ることができます。

 

国民年金の脱退一時金は納めた月数により定額ですが、厚生年金の脱退一時金は納めた月数や保険料により異なってきます。

 

それ以外に、日本と母国との間で「年金加入期間の通算」に関する協定を結んでいるのであれば、日本で保険料を納めた期間を母国の受給資格期間に算入することもできます。

 

ただし、この場合は、日本から脱退一時金を受け取らないことが条件です。

 

なお、日本人が海外に移住し、国籍を変更した場合も、脱退一時金の請求は可能です。