年金なんでも解決塾

難しそうな年金を、分かりやすく解説します

児童扶養手当と公的年金

児童扶養手当とは、離婚や死別などによる、いわゆる「ひとり親家庭」の生活の安定と自立を助けるために、各自治体から支給されるものです。

 

以前は、親や子どもが公的年金を受け取ることができる場合は、児童扶養手当は支給されませんでした。

 

これが平成2612月に制度が変更となり、児童扶養手当公的年金の差額分が支給されることとなりました。

 

具体的には、以下の通りとなります。

 

・子の加算額が加算された障害基礎年金の額が、児童扶養手当よりも低い場合は、その差額分の児童扶養手当が支給されます。

 

・遺族基礎年金の額が、児童扶養手当よりも低い場合は、その差額分の児童扶養手当が支給されます。

 

 

年金は10年で元が取れます

国民年金の保険料を納めても、将来いくらもらえるか分からない」と思って、保険料を納めるのを躊躇っている人もいるでしょう。

 

実は、国民年金は、年金を受け取り始めて約10年で元が取れる、非常にお得な制度なのです。

 

平成30年度の国民年金保険料は、月16,340円です。

これを20歳から60歳までの40年間納めたとすると、その総額は、

16,340円×12月×40年=7,843,200円」となります。

 

一方、65歳から受け取ることのできる老齢基礎年金の額は、779,300円となっています。

 

つまり、「7,843,200円÷779,300円=10.06年」となり、

 

65歳から老齢基礎年金を受け取り始めて約10年後の75歳には、納めた保険料の元が取れる計算となります。

 

40年間保険料を納めていなくて、保険料を納めた期間が10年や20年や30年であっても、同じように約10年で元を取ることができます。

 

現在の平均寿命は男女とも80歳を超えていますので、およそ平均寿命まで生きることができれば、確実に元が取れ、長生きすればするほど得になることが分かります。

 

 

3号不整合について

会社員の夫に扶養されている妻などの国民年金3号被保険者は、夫が退職などをした場合、妻は第3号被保険者から第1号被保険者へ切り替わるため、第3号被保険者から第1号被保険者になるための手続きをしなければなりません。

 

しかし、第1号被保険者になるための手続きをしておらず、第3号被保険者のまま管理されている記録が数多くありました。

 

この、本来は第1号被保険者であるにもかかわらず、手続きがされずに第3号被保険者のままになっている期間のことを、「不整合期間」といいます。

 

不整合期間のうち、本来は時効により保険料を納めることができない期間についても、平成303月までの期間限定で、特例として保険料を納めることができるようにしました。

 

また、平成303月までに過去の不整合期間に係る保険料を納めなかった場合、平成304月からの年金額は保険料納付実績に応じて減額されるのですが、減額には下限が設けられました。

 

年金受給者の生活への配慮として、これまでの年金額の9割は保障されることとなりました。

 

 

「1日生まれ」の人は、年金を多くもらえる?

年金の支給開始年齢に達すると年金の受給権が発生しますが、年金制度においては、誕生日の前日に年齢が到達することになっています。

 

年齢の計算については、「年齢計算に関する法律」に基づいて行われており、例えば、420日が65歳の誕生日の人は、年金の年齢計算においては、誕生日の前日である419日に65歳に到達することになります。

 

また、年金の支給は受給権が発生した日の翌月からとなりますので、420日が誕生日の人は、419日に65歳に到達し、5月から年金の支給が開始となります。

 

誕生日の前日に年齢が到達することにより影響を受けるのが、「1日生まれ」の人です。

 

41日が誕生日の人は、誕生日の前日である331日に年齢が到達し、その翌月である4月から年金が支給されます。

 

一方、42日や43日が誕生日の人は、それぞれ41日と42日に年齢が到達しますので、その翌月である5月から年金が支給されます。

 

したがって、「1日生まれ」の人は、1か月分だけ多く年金を受け取れるイメージとなります。

 

老齢10年はOK、遺族10年はNG

老齢基礎年金を受け取るために必要な受給資格期間はこれまで25年でしたが、平成298月から10年に短縮されました。

 

また、老齢基礎年金の他にも、寡婦年金も25年から10年に短縮されました。

 

寡婦年金とは、第1号被保険者である夫が老齢基礎年金を受けずに亡くなった場合に、60歳以上65歳以下の妻に支給されるものですが、寡婦年金についても以前は受給資格期間が25年必要でしたが、平成298月から10年に短縮されました。

 

ただし、遺族基礎年金・遺族厚生年金の長期要件については、これまで同様25年の受給資格期間が必要です。

 

つまり、保険料納付済期間が10年の場合、自身が老齢年金を受け取ることはできますが、亡くなった場合、遺族が遺族年金を受け取ることができない可能性があります。

 

亡くなった場合の遺族のことを考えると、これまで同様に25年の保険料納付を目安にしていくのが良いかもしれません。