年金なんでも解決塾

難しそうな年金を、分かりやすく解説します

年金と所得税

国から支給される老齢年金は雑所得として位置づけられ、所得税や住民税がかかります。

 

所得税や住民税がかかるのは老齢年金であり、障害年金や遺族年金は非課税のため、税金はかかりません。

 

また、65歳未満であれば年金額が108万円未満、65歳以上であれば158万円未満であれば、所得税はかかりません。

 

所得税は年金の支払い時に源泉徴収されますが、所得控除を受けるためには、「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」を提出しなければなりません。

 

公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」を提出すれば各種控除を受けることができますが、提出をしないと、支払額の7.6575%源泉徴収されます。

 

公的年金等控除により年金額の25%には課税されず、残りの75%に税率10%がかかり、さらに、復興特別所得税として2.1%が上乗せされるため、7.6575%となります。)

 

年金以外に給与を受け取っていて、勤務先に「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している場合は、二重に控除を受けてしまうことになるので、どちらか一方にのみ、配偶者や子どもを扶養親族として申告してください。

 

なお、「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」を提出しなかったとしても、確定申告により清算をすれば、所得税の還付を受けることができます。

 

 

一部免除は納付が必要

経済的な理由などで保険料の納付が困難な人のために、保険料の免除制度があります。

 

本人からの申請があると、本人や世帯主・配偶者の所得が審査され、所得が一定額以下であれば、全額免除・4分の3免除・半額免除・4分の1免除のいずれかに決定されます。

 

全額免除に該当すれば、保険料を納付する必要はなく、老後の年金額においては、2分の1の保険料を納めたものとして計算してもらえます。

 

一方、一部免除(4分の3免除・半額免除・4分の1免除)に該当した場合は、保険料の一部が免除されたにすぎませんので、納めなければならない分の保険料を納めなければ「未納」扱いとなり、老後の年金額が増えることはありません。

 

一部納めるべき保険料を納めない間に、重い障害が残ったり、亡くなったりした場合、障害基礎年金や遺族基礎年金を受け取ることができないこともありますので、気を付けて下さい。

 

 

 

学生納付特例制度とは

20歳になると、日本国内に住むすべての人は国民年金の被保険者となり、国民年金の保険料を納めなければなりません。

 

ただし学生については、「学生納付特例制度」を利用すれば、保険料の支払いを猶予されます。

 

学生納付特例制度を利用するには本人からの申請が必要で、本人の前年の所得に基づいて審査がされますが、多くの場合、猶予が認められています。

 

猶予を受けた期間については、老後に年金を受け取るために必要な受給資格期間に含めることはできますが、年金額には反映されませんので、満額の年金を受け取るためには、10年以内に保険料を納める必要があります。

 

また、猶予を受けることにより、病気やケガで障害が残ったときに障害基礎年金を受け取ることができるというメリットもあります。

 

猶予を受ける期間は、4月から翌年3月までの1年間となります。

 

3月に卒業式があっても、3月まで猶予は認められますが、卒業式を終えて3月中に就職した場合は、猶予は2月までとなります。

 

 

64歳11ヶ月での退職が有利

基本手当と年金の両方を受け取る方法があります。

 

65歳前に退職すると雇用保険の基本手当を受け取ることができますが、65歳以後に退職すると高年齢求職者給付金が一時金として支給されます。

 

高年齢求職者給付金は、基本手当日額の最大50日分ですので、高年齢求職者給付金よりも基本手当の方が有利であることが多いです。

 

また、基本手当と65歳前の特別支給の老齢厚生年金の両方を受け取ることはできませんが、基本手当と65歳以降の老齢厚生年金の両方を受け取ることはできます。

 

以上を踏まえ、65歳の誕生日の前々日までに退職をして基本手当の受給資格を得て、65歳以降に求職の申込みをすれば、基本手当と年金の両方を受け取ることが可能となります。

 

ただし、65歳まで在職した方が、賞与や退職金が多く支給されることもありますので、会社の規則を確認しておくことも大切です。

 

 

基本手当と年金の調整

雇用保険の基本手当と、60歳から65歳までの間に受け取る特別支給の老齢厚生年金とは、両方を同時に受け取ることができません。

 

基本手当を受け取っている間は、特別支給の老齢厚生年金は全額支給停止されます。

 

また、ハローワークで求職の申込みをしなければ、特別支給の老齢厚生年金を受け取ることができます。

 

求職の申込みをした場合でも、指定された失業の認定日にハローワークへ行かず、失業の認定を受けなければ、特別支給の老齢厚生年金を受け取ることが可能です。 

 

なお、基本手当を受ける前に3か月間の給付制限期間がある場合、給付制限期間中についても年金は支給されません。

 

ただし、基本手当を受け終わった後に事後精算が行われ、給付制限期間中に相当する分の年金が、後日さかのぼって支給されます。