年金なんでも解決塾

難しそうな年金を、分かりやすく解説します

社会保障協定とは

日本の企業に所属し、日本から海外に派遣されて働くような場合、日本と派遣された国の両方の国の社会保険制度に加入しなければならなくなる「二重加入の問題」が生じます。

                                

また、派遣された国での加入期間が短いと、派遣された国で年金を受け取るのに必要な期間を満たすことができない「保険料の掛け捨ての問題」もあります。

 

これらを解決するための方法として、「社会保障協定」が結ばれることとなりました。

 

社会保障協定を締結することにより、どちらかの国の社会保険制度への加入を免除したり、両方の国の加入期間を通算したりすることができるようになりました。

 

平成303月末現在でドイツやイギリス、韓国、アメリカなど17か国と社会保障協定と締結しており、具体的な内容は個々の協定内容により異なります。

 

基本的には、相手国への派遣が5年を超えない見込であれば、引き続き日本の社会保険制度のみに加入し、派遣された国の社会保険制度への加入は免除されます。

 

 

夫が65歳になったら、3号から1号へ切り替える

会社に勤めていて厚生年金に加入している人を「国民年金2号被保険者」といい、国民年金2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者を「国民年金3号被保険者」といいます。

 

国民年金3号被保険者は、自身で保険料を納める必要はなく、老後の年金額においては、毎月保険料を納めてきたものとして計算してもらえます。

 

夫が55歳、妻が47歳の場合、夫が厚生年金に加入していれば、妻は国民年金3号被保険者となるため、妻自身が保険料を納める必要はありません。

 

10年後となり、夫が65歳、妻が57歳になった場合は注意が必要です。

 

厚生年金に加入していても、65歳以上で老齢年金の受給権がある人は、国民年金2号被保険者とはならないからです。

 

夫が国民年金2号被保険者でなくなれば、妻も国民年金3号被保険者ではなくなります。

 

したがってこの場合、妻は市区町村の窓口で国民年金3号被保険者から国民年金1号被保険者へ切り替える手続きをして、57歳から60歳まで国民年金保険料を納めなければなりません。

 

 

年金は5年以内に請求しましょう

年金を受け取る権利が発生したとき、その年金をすぐに受け取るのか、しばらくたってから受け取るのかは本人の自由です。

 

本人からの請求を受けて年金の支給がされますので、請求しない限り年金が支払われることもありません。

 

しかし、年金を受け取る権利には時効があり、受け取る権利が発生してから「5年」を経過すると、時効によって消滅してしまいます。

 

例えば、65歳で受給権が発生した老齢基礎年金を、72歳になって請求したとすると、権利が発生してから5年を経過している部分は時効で消滅してしまっているため、65歳から66歳までの2年分の年金を受け取ることができなくなります。

 

なお、死亡一時金や脱退一時金の時効は「2年」となっていますので、できるだけ早めに請求するように心掛けましょう。

 

 

失業による免除制度

経済的な理由などで国民年金の保険料の納付が困難な人のために、保険料の免除制度があります。

 

保険料の免除は、本人からの申請に基づき審査が行われ、一定の所得条件を満たせば、全額免除・4分の3免除・半額免除・4分の1免除のいずれかに決定されます。

 

例えば全額免除に決定されると、保険料を納める必要はありませんが、老後の年金については、2分の1の保険料を納めたものとして計算してもらえますので、未納のままにせずに免除の申請をした方がはるかに有利です。

 

免除の決定にあたっては、前年の本人・世帯主・配偶者の所得が審査対象となりますので、前年にそれなりの所得があった場合や、親が世帯主でフルタイムで働いているような場合は、免除が認められないこともあります。

 

ただし、退職などにより失業した場合は、失業者のための特例の免除制度がありますので、利用することをお勧めします。

 

これは、離職票雇用保険受給資格者証を持参して免除の手続きをすれば、免除の審査から、前年の本人の所得が除外されるというものです。

 

つまり、単身世帯であれば、失業者のための特例の免除制度を利用すれば、前年の所得の額がいくらであったとしても、ほぼ間違いなく全額免除が認められます。

 

なお、失業による免除が認められるのは当該年度(7月から翌年6月まで)のみとなっていますので、翌年度も免除を継続したい場合は、再度申請が必要です。

 

また、免除を受けた期間については、10年以内に保険料を納めれば、老後に満額の年金を受け取ることが可能となっています。

 

 

扶養に入る年収130万円は、いつからいつまで?

扶養といっても、税法上の扶養と社会保険上の扶養は異なるものです。

 

一般的には、税法上の扶養の場合は年間収入150万円以下(配偶者の場合)、社会保険上の扶養は年間収入130万円未満であることが基準とされています。

 

また、税法上の扶養は1月から12月までの1年間の年間収入が基準となるのに対し、社会保険上の扶養は申請日以降の年間収入が130万円未満であるかどうかで判断する点も違いであるといえます。

 

例えば、前月までの給与収入の額がいくらであったとしても、退職をしてそれ以降収入の見込がないのであれば、年間収入130万円未満となり扶養に入ることができます。

 

ただし、雇用保険の失業給付を受け取る場合は、失業給付の額が日額3,611円を超えると扶養に入ることができませんので、注意が必要です。

 

退職して扶養に入るときには、離職票の写しなどの退職の事実を証明できるものを健康保険組合に提出するのが一般的ですが、パート勤務などで年間収入130万円未満となるために扶養に入るときには、雇用契約書や直近3か月分の給与明細書、事業主の証明などの提出を求められることがあります。

 

また、個人事業主として仕事をしている妻を扶養に入れるような場合、仕事にかかる必要経費を除いた額で年間収入を計算するのが一般的ですが、必要経費も含めて年間130万円未満であるかどうかを判断する健康保険組合もあります。

 

扶養に入るときの手続きはすべての健康保険組合で同じではありませんので、あらかじめ健康保険組合に確認しておくと良いでしょう。