年金なんでも解決塾

難しそうな年金を、分かりやすく解説します

免除の申請をしたのに、納付書が届いたとき

国民年金の免除の申請をしたけど、国民年金の納付書が届いた。これは、免除の申請が通らなかったので、保険料を納めなければならないってこと?」というご質問をいただくことがあります。

 

結論としては、「免除の申請の結果が来るまでもう少し時間がかかるので、保険料は納めずに、納付書はそのままにしておいてください」となります。

 

これは、免除の申請をして結果が来るまで23か月かかるのですが、その間に納付書だけが先に届いてしまう事務処理の流れとなってしまっているためです。

 

納付書に同封されている書類にも、

現在、免除等を申請中の方にもこの納付書をお送りしていますので、ご了承ください。」

申請の結果は後日通知しますが、結果通知が届くまでの間は、納付書を大切に保管してください。」

と記載されています。

 

免除が承認されると、申請から23か月後に、見開きハガキの「国民年金保険料免除・納付猶予申請承認通知書」が届くことになります。

 

この通知書が届いて、免除が承認されたことの確認ができたら、届いていた納付書は破棄してしまって構いません。

 

 

年金記録が見つかったのに、減額になる場合

ねんきん定期便」や「ねんきんネット」を確認していると、過去に働いていた会社の記録が抜け落ちていることがあります。

 

本人の記録として紐付けされていない理由としては、氏名や生年月日が誤って登録されていたことなどがありますが、年金事務所に申出をして確認が取れれば、本人の記録として紐付けてもらうことができます。

 

過去の記録が見つかれば、その分だけ受け取ることのできる年金額が増えるのが一般的ですが、例外的に、記録が見つかったことにより年金額が下がってしまう場合もあります。

 

 

具体的には、下記のようなケースがあります。

 

・妻の厚生年金記録が見つかった結果、厚生年金期間が20年以上となったために、夫の加給年金や妻の振替加算がさかのぼって取消となり、減額となる

 

300月みなしで障害厚生年金や遺族厚生年金を受給している場合、報酬の低い期間の記録が見つかったために、平均報酬月額が下がり、減額となる

 

・第4種被保険者期間がある老齢厚生年金の受給者が、報酬の低い期間の記録が見つかったために第4種被保険者期間が取り消しとなり、平均報酬月額が下がり、減額となる

 

 

ただし、年金額が下がる場合は、年金事務所において「年金額仮計算書」という用紙の、「年金記録の訂正は必要ありません。」にチェックを入れれば、見つかった記録は紐付けされず、今後もこれまで同様の年金額が支給されることになります。

 

 

協会けんぽの保険料率

協会けんぽの健康保険料率は、都道府県支部ごとに決められています。

 

協会けんぽ全体の保険料率(平成30年度は10.00%)が設定され、それが全体の平均となるように、各都道府県支部の保険料率が決定されます。

 

医療費の水準が高いと、保険料率も高くなる仕組みとなっています。

 

同時に、加入者の年齢構成や所得水準の違いが影響しないように調整がされます。

 

平成30年度は、最も保険料率が高い佐賀支部10.61%に対し、最も低いのは新潟支部9.63%で、その差は0.98%でした。

 

金額にすると、標準報酬月額が28万円の人で、1年間に支払う保険料に約33,000円の違いが生じます。

 

半分を事業主が負担しますので、個人の負担は約16,000円の差になります。

 

さらに平成30年度から、将来的な医療費の増加を抑制するため、「インセンティブ制度」が導入されました。

 

これは、健診受診率などの健康づくりや医療費の抑制(ジェネリック医薬品の使用割合)などの評価指標により各都道府県支部を評価し、上位半数となった支部の保険料率を引き下げるというものです。

 

成績の良い支部の保険料率が引き下げられることから「報奨金制度」とも呼ばれています。

 

18歳から40年間働いたら、満額の年金を受け取れる?

国民年金の保険料を40年間納めると、65歳から満額の老齢基礎年金を受け取ることができます。

 

平成30年度の満額の老齢基礎年金は779,300円となっています。

 

会社に就職して厚生年金に加入すると、給与から厚生年金保険料を天引きされますが、厚生年金保険料には国民年金保険料の分も含んでいるので、同時に国民年金保険料を納めたことにもなります。

 

高校を卒業して18歳で就職し、58歳で退職したとすると、厚生年金に40年間加入したことになりますが、この場合、満額の老齢基礎年金を受け取ることができるでしょうか。

 

40年間保険料を納めれば、満額の老齢基礎年金を受け取ることができますが、国民年金に加入することができるのは、20歳から60歳までの40年間となっています。

 

18歳から20歳までの2年間については、国民年金の加入対象期間外であるため、老齢厚生年金の額には反映されますが、老齢基礎年金の額には反映されません。

 

したがって、58歳から60歳までの2年間国民年金保険料を納めると、満額の老齢基礎年金を受け取ることができるようになり、58歳から60歳までの2年間国民年金保険料を納めなければ、2年間未納となり、老齢基礎年金が減額されることになります。

本人からの申出による、年金の支給停止

老後に年金を受け取ることは、現役時代に保険料を納めたことに伴い発生する当然の権利ですが、平成194月より、本人が申し出ることにより年金を受け取らないことも可能となりました。

 

年金事務所で、「老齢・障害・遺族給付支給停止申出書」に記入をして提出すれば、その翌月から年金の支給は停止となりますが、現実としてこの制度はほとんど利用されておりません。

 

なお、支給停止を申し出たとしても、他の年金との関係においては、引き続き支給されているものとみなして調整がされますので、注意してください。

 

具体的には、

 

・妻が遺族厚生年金の支給停止を申し出た場合、同順位の子に遺族厚生年金が支給されることはなく、子の遺族厚生年金も引き続き支給停止となります。

 

・夫婦ともに厚生年金加入期間が20年以上あり、いずれか一方が老齢厚生年金の支給停止を申し出た場合、もう一方の老齢厚生年金に加給年金が加算されることはなく、加給年金は引き続き支給停止となります。

 

労災保険の障害補償年金との関係においても、支給停止を申し出たとしても、引き続き支給されているものとみなされるため、労災保険の障害補償年金は引き続き支給停止となります。