年金なんでも解決塾

難しそうな年金を、分かりやすく解説します

在職中死亡の遺族厚生年金

在職中の方が亡くなった場合、保険料納付要件を満たしていれば、遺族は遺族厚生年金を受け取ることができます。

 

在職中の方が亡くなった場合の遺族厚生年金は、在職していた期間を問われることはありません。

 

たとえ1か月の在職期間であっても、遺族厚生年金の対象となります。

 

例えば、20歳から30歳までの10年間は自営業で、すべて国民年金保険料を納めていて、30歳になり就職をして厚生年金に加入し、その1か月後に亡くなった場合、いわゆる「3分の2以上」の保険料納付要件を満たしているので、遺族厚生年金を受け取ることができます。

 

なお、厚生年金の加入期間が25年未満の場合の遺族厚生年金の額は、厚生年金に25年加入したものとみなして計算をします。

 

上記の例で、1か月の給与が28万円であったとすると、28万円を25年間受け取ったものとみなして、遺族厚生年金の額が計算されることになります。

事後重症による請求は、すぐに手続きを

障害年金の請求には、認定日請求と事後重症請求の2種類があります。

 

認定日請求とは、初診日から16か月経過した障害認定日において、障害の状態に該当するときに請求するものです。

 

障害認定日において障害の状態であれば、請求が遅れたとしても障害認定日にさかのぼって年金を受け取ることが可能です。

 

年金を受け取る権利の時効は5年ですので、障害認定日から5年以内に請求すれば、障害年金をもらい損ねることなく、すべて受け取ることができます。

 

一方、事後重症請求とは、障害認定日においては障害の状態には該当しておらず、その後症状が悪化して障害の状態に該当するようになったときに請求するものです。

 

事後重症請求においては、過去の分がさかのぼって支給されることはなく、請求をした月の翌月分から年金が支給されることになります。

 

つまり、事後重症請求の場合、年金の請求が遅れれば遅れるほど、年金の受け取り総額が少なくなってしまいます。

 

障害認定日請求は多少請求が遅れても年金の受け取り額に影響はないですが、事後重症請求はできるだけ早く請求をすることが大切です。

障害者特例とは

特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢は、性別や生年月日によって異なっています。

 

例えば、昭和3411日生まれの女性は、61歳から報酬比例部分の特別支給の老齢厚生年金が支給され、65歳から老齢基礎年金と老齢厚生年金が支給されます。

 

障害者特例とは、障害等級1級から3級の状態に該当していて、退職済みや時短勤務などで厚生年金に加入していなければ、定額部分と加給年金が報酬比例部分と合わせて支給されるというものです。

 

上記の例では、昭和3411日生まれの女性が障害等級3級に該当していて、退職済みや時短勤務などで厚生年金に加入していなければ、報酬比例部分だけでなく、定額部分と加給年金も61歳から支給されることになります。

 

障害者特例の適用にあたっては、実際に障害年金を受け取っているかどうかは関係なく、障害年金を受け取っていても受け取っていなくても、障害等級1級から3級の状態にあれば、障害者特例を受けることができます。

 

障害者特例を受けるためには、「特別支給の老齢厚生年金受給権者障害者特例請求書」を年金請求書とともに提出することになります。

働きながら年金を受け取っている人の、年金はいつ増える?

60歳になって、年金を受け取り始めるようになりました。

その一方、年金だけでは生活できないので、仕事を続けて、厚生年金保険料も納めています。」

 

老後に受け取る老齢厚生年金の額は、厚生年金保険料を納めてきた期間や額によって異なりますが、上記の例のように、年金を受け取りながら保険料を納めている人の年金額はいつ増えるのでしょうか。

 

厚生年金保険料を毎月納めているのですから、それに応じて毎月年金額も増えそうなものですが、実際は、保険料を納めるごとに年金額が増えることはありません。

 

年金を受け取りながら保険料を納めている人の年金額は、退職したときにまとめて増えることになっています。

 

つまり、60歳から年金を受け取り始める一方、60歳から63歳まで仕事をして保険料を納めていた場合、60歳から63歳までの3年間の保険料の分は、退職したときに3年間分まとめて計算をして、年金額が増える仕組みとなっています。

 

なお、退職したとき以外にも、65歳になったとき、70歳になったときにも、年金額の再計算が行われます。

 

したがって、年金を受け取りながら保険料を納めている人の年金額は、

・退職したとき

65歳になったとき

70歳になったとき

この3つのタイミングで年金額が増えることになります。

国民年金第1号被保険者の産前産後の保険料免除制度

平成314月から、国民年金1号被保険者の産前産後期間にかかる、保険料免除制度が始まります。

 

出産前に届出をすることにより、出産予定日の属する月の前月から4か月分の保険料が免除されます。

(双子や三つ子などの場合は、出産予定日の属する月の3か月前から6か月分)

 

具体的には、出産予定日が平成317月であるとすると、平成316月から9月までの4か月分の保険料が免除になります。

 

施行日が平成314月であるため、出産予定日が平成313月の場合は、平成314月分と5月分の2か月分の保険料が免除されます。

 

出産後に免除の届出をした場合は、出産日の属する月の前月から4か月分の保険料が免除になります。

 

出産前に届出をして、出産予定日の6月に対して、実際の出産日が7月であった場合でも、出産予定日の6月を基準にして、免除の月が決定されます。

 

免除になった期間については、保険料を全額納めたものとして、老後の年金額が計算されます。

 

保険料を前納していた場合は、保険料は還付され、産前産後の免除期間の付加保険料のみを納めることも可能となっています。

 

なお、この産前産後免除制度にかかる財源を確保するため、平成31年度から保険料が100円上がることになっています。